川端康成の小説『古都』が36年ぶりに映画化されると発表になりました。主役の双子姉妹を一人二役で演じるのは、松雪泰子さん。
過去に2回、1963年に岩下志麻さん主演、1980年に山口百恵さん主演で映画化されている作品ですが、今回の映画は原作小説の『その後』を描くオリジナルになっているようです。
原作小説は遠い遠~い昔に1度読んだきりでよく覚えてないんですが、「京都とパリで撮影!」となっていて、??パリとか出てきたっけ?と思ったんですが、その後のお話だったんですね。
松雪さん主演の『古都』のベースとなる、原作映画化、山口百恵さん引退記念作品にもなった1980年版『古都』のあらすじや、映画の評判がどうたったのか?調べてみました。
山口百恵引退記念作品『古都』
作品情報
原作:川端康成
監督:市川崑
脚本:日高真也・市川崑
配給:東宝
公開:1980年12月6日
キャスト
佐田千重子・苗子:山口百恵(影武者として白貝真理子)
清作:三浦友和
佐田太吉郎:實川延若
佐田しげ:岸惠子
水木竜助:沖雅也
水木真一:北詰友樹
大友秀男:石田信之
1980年版映画『古都』のあらすじ
赤ん坊の頃に生き別れた双子の姉妹。姉の千恵子は呉服問屋の娘として裕福に育ち、妹の苗子は実の両親が早くに亡くなった為、北山杉の持ち主に育てられた。
そうして全く違う人生を歩んできた姉妹が祇園祭の夜に、八坂神社で運命の再会をする。
「神様のお導き」
と再会の奇跡を噛みしめる二人。
二人の存在が明らかになり、苗子も引き取るといってくれた佐田の両親や姉に感謝しつつも、苗子は、これまで歩んできた世界の違いや身分の違いで、姉に迷惑をかけてはならないと考えます。
千恵子の家に泊まりに来た苗子は、姉妹として幸せな一夜を過ごすのですが、これを最後にと「ずっと側に居て欲しい」という千恵子を残し、山へと帰っていく。
姉妹それぞれに想いを寄せる、同業問屋の秀男や、幼馴染みの竜介、真一兄弟、西陣織の帯や四季折々の京都の風景が織りなす「古都」の物語。
あれ?三浦友和さんどこ行った??
山口百恵引退作品『古都』の評判は?
昭和のスーパースター『山口百恵さん』といえば、現在のご主人である「三浦友和さん」との「百友コンビ」として、数々のヒットドラマ、映画に出演していました。
ドラマでは「赤いシリーズ」、映画では、この川端作品に代表される日本の純文学作品の映画が多いですよね。
そんな山口百恵さんの「引退記念作品」となった「古都」は、興行収入では1981年の邦画部門12位(10.5億円)を上げています。(公開は1980年の12月なんですが、ランキングとしては1981年に入っていました。もしも2年にわけてカウントされていたとすると、初動が一番大きいからもっといってるかも知れません。)
とはいえ、作品への評価というと又、別のお話。
調べてみると、賛否両論真っ二つ!という感じでした。
運命のいたづらで、全く違う人生を歩んだ姉妹を演じ分けた山口百恵さんに賞賛の声があがっている一方で、引退前スケジュールが詰まった時期に撮影された「やっつけ仕事」といった辛辣なご意見も・・・・・・。
私自身は、この映画を観ていないのでなんともいえませんが、さっきも言ったとおり
っていうのは、どうしてもぬぐい去れない。
この作品で、三浦友和さんが演じた「清作」は原作にはいない人物で、登場シーンも少なく「共演」というより「友情出演」だったそうです。
その割に映画のポスターには大きく写真が載っているし、ファン心理としては、最後にがっつり「百友コンビ」映画をみたかったんじゃあないかなー。当時「百友詐欺」なんて言われなかったのか心配です。(そういう意見は見かけませんでしたけど!ファンの皆様のお心の深さを感じます!)
山口百恵さんの完全引退が1980年10月15日と言われていますから、結婚もされた後に公開された今作では、三浦友和さんが「遠慮」したのかな?
21世紀版「古都」はどうなる?
36年振りに映画化が発表された「古都」は原作の「その後」のお話。
千恵子と苗子、そしてその二人それぞれの娘が物語の中心として描かれるとされていました。
原作は、春(「春の花」「尼寺と格子」「きものの町」)、夏(「北山杉」「祇園祭」)、秋(「秋の色」「松のみどり」「秋深い姉妹」)、冬(「冬の花」)、と京都の四季を背景にして、実際の年中行事や出来事が盛り込まれている作品で、川端作品としては「文学的」な評価はあまりされておらず、
『失われてゆく日本の美をとどめておきたい』
という川端康成の「想い」がクローズアップされる事が多いそうです。
そうした「日本の美」の一つとしての側面を持つ伝統文化の「継承」という問題提起も感じられる作品だと思うのですが、新「古都」では、店を継がせるか、継ぐべきか悩む「千恵子母娘」と、パリに美術留学して実力差に悩む苗子の娘が、京都と同じく「深い文化の歴史」を持つ「パリ」で交錯するという設定で、より深く描かれていくのではないでしょうか?
個人的には苗子の娘役、成海璃子さんが楽しみです!
その他の『古都』
1963年「古都」の岩下志麻さん
う、美しい・・・・・。圧倒的な「京美人」感が凄まじいです。
そして「総天然色」っていう文字も今となっては「斬新」に見えてきますね。
この作品はドラマ化も何回もされていますが、一番新しいのは2005年に放送された上戸彩さん主演のドラマです。
「総天然色?」櫻色が美しいポスター。前から上戸彩さんって、「百恵ちゃん」に似てるなーと思っていたんですけど、ポスターで見比べると百恵さんの方がずっと大人びてますね。この役を演じた時、百恵さん21歳、上戸さん20歳とほぼ同じ年なんですけど、百恵さんの21歳がすごいんだろーなー。「老けてる」じゃあなくって「貫禄」っていう話です!
松雪さんも「京美人」似合いますよね~!(真逆なイメージのラスト役も絶対似合うと思うけど!)
2016年公開「古都」についてはこちらから!『古都』 ©川端康成記念會/古都プロジェクト
この作品は、新旧の女優さん達によって生み出されるそれぞれの「千恵子と苗子」、それを彩る日仏の「美しい風景」が見所ですね。
ぜひ、映画館に足を運びたい作品です!
最後までお読み頂き、ありがとうございます!